君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
架琉と呼ばれた人物は中野 神弥にニコリと笑いかける。


この男が黒髪金メッシュのクールな女タラシ、八神 架琉…?


この間も見たけど、クールな感じには見えないなぁ…



「僕の質問に答えなよ。」



…何、この雰囲気。


中野 神弥と八神 架琉って友達じゃないの…?



「おっ待たせーっ!…ってあれ?どうしたの?花菜ちゃん…」



テーブルに居ないと思ったら、トイレに行っていたらしい綾香は中野 神弥と八神 架琉の間に流れる雰囲気に気付いて立ち止まった。



「…架琉、聞いてるの?」


「《聞いてるよ。》」



耳の奥の方まで届くような、低い艷のある声。


何となく、瑛ちゃんが言っていた〝クールな〟っていうの、分かるような気がする。



「《神弥と棲んでる女の顔を見たくてさ。》」



クックッと静かに笑う。
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