君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「あああああ綾香、落ち着いて。」



いや、まず自分が落ち着け、私!



「《…何?》」


「私、土居 綾香っていいます!あの…」



あああ…綾香っ!


それだけは止めて!


声だけで選ぶとろくなことがないんだから!


私はもう、あんたの泣き顔を見たくないよ…っ


―――――私の制止も止む無く、綾香は八神 架琉に近づき見上げ、口を開く。




「あの、(声が)好きです!!」



…やっちゃった…


綾香のいきなりの告白に、中野 神弥と八神 架琉はもちろんのこと、食堂にいた女子の(ほとん)どが固まった。



「…先輩のお友達って、大胆ですね…」



王子キャラの中野 神弥が感嘆の声を漏らす。



「綾香は私の従妹(いとこ)。大胆っていうか…変わってる。」



絶対後悔すると思うなぁ、今日ここで言っちゃったこと。


綾香は好きになると一直線だから暴走しがちなんだよね…


というか八神 架琉みたいなタイプは、大変な気がするなぁ。


綾香には悪いけど、私はこれから先…八神 架琉とか中野 神弥みたいなタイプは好きにならない!


いや、中野 神弥はちょっと一目惚れしちゃった時期があったけど…

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