君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「…おい?どうしたんだよ、花菜。顔が赤いぞ。」



何を思ったか、中野 神弥が雑誌を置いて立ち上がると、私の方へと近づいてくる。



「や、あの…」


「…どした?」



あ~、もう!


初日であんなに酷い扱いしたくせに、何で今はこんなに優しい感じなの!


私は異常に早くなる自分の鼓動を感じながら、目の前に立つ中野 神弥を見上げた。


やっぱり…


凄く綺麗な顔…


睫毛長いし、鼻も高いし、唇も整ってて…


――はっ!


危ない、危ない。


危うく中野 神弥の毒牙に――――…



――「んな顔してんな。」



え?


ボソッと中野 神弥が呟いたと思った瞬間…私の唇には、私のものではない温もりを感じた。



「ん…っ、んん?!」



何…?


何で中野 神弥は私にキスをしてるの…?
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