君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「ん……っ」

ヤバい…


何かふわふわする…


中野 神弥のキスが深くなるのに反して、私の抵抗が薄れていく。


段々息苦しくなってきて、足に力が入らなくなる。


カクン、と膝が折れた。


崩れそうになる体を抱きとめられる。


やっとキスから解放されて、深く息を吸う。


「はぁ…っ」


「……っ!」


そんな私を見て、何故か中野 神弥はハッとしたように目を見開いた。



「…っ…今のは、忘れろ。」



ぶっきらぼうに言い放って、自室に逃げるように消えてしまった。



「な、何?今の…」



いきなりキスして、しかも〝忘れろ〟とか…


…あ。


何か段々腹立ってきた。



「は、ら、たつ~っ!」



年下のくせに、生意気!


周りの世話をしてあげてるのに、こんな不埒なことをして…



「ふざけんなーっ!!」
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