君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
4
「ちょっと、あんた!」


「《……何。》」


「何で綾香にあんな酷いこと言ったのよ!」



あの日から3日後。


やっとのことで、食堂にいる八神 架琉を捕まえた。



「《…綾香って、誰?》」



私の方を見ることもなく、八神 架琉は聞く。



「3日前にあんたに好きだって言った女の子!」


「《あぁ…。》」



あぁ…って、あんた…。



「《何でって、はっきり断わらないと逆に辛いでしょ。それとも変に優しい言葉をかけて、期待持たせるようなことをした方が良かった?》」


「それは…」



言ってることはもっともだけど…



「《…それより、何であんたが神弥と棲むことになったか知ってる?》」



私が中野 神弥と住むことになった理由…?



「…知らない。」


「《教えてあげよっか。》」



八神 架琉は良いことを思いついた子供のように、笑った。

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