君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「な、何よ…っ」


「睨んでんじゃないわよ…っ」



…何をビビってんのよ。


私があんた達をとって食うなんてこと、する訳ないでしょ…。



「…ちょっとあんたら、いい加減、うるさいよ…?」



なーんて、凄んでみる。


が、私と八神 架琉親衛隊のあまりよくない雰囲気を変えてしまう人物の声が、廊下中に響いた。


そのせいで、私の凄みは無意味になっちゃたけど…



「花、菜、ちゃーん!」



トテトテと走りよってくる綾香。


そんな綾香に、親衛隊の顔は引きつる。



「探したんだよ、花菜ちゃん!…あれ?花菜ちゃんの友達?」



親衛隊の方を向いて、言う綾香。


綾香…


君の目には、私たちは仲良しに見えるんだね…



「…それより、どうしたの?その顔。」



私は歌舞伎役者もびっくりな隈取り風のメイクをしている綾香に問いかけた。
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