君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「あ、これ?…童顔って言われたから、大人メイクしてきてみたの。」



八神 架琉に言われたことをやっぱり気にしていたらしい綾香は、〝大人メイク〟を施した顔に満面の笑みを浮かべる。


が、その笑った顔が怖すぎて、さっきまでキャンキャン吠えていた親衛隊も押し黙る。



「綾香…それ、大人メイクとは違うと思うよ?」


「え…?でも、ファッション雑誌を参考にしてやったんだよ…?」



うるうると瞳を潤わせる。


そんな顔をしても、今の君は怖いだけだよ……。


しかし何のファッション雑誌を参考にしたら隈取りメイクなんて載ってんの…


「んー…とりあえずは綾香。ちょっと待ってて。今すぐに親衛隊と決着つけるから。」


「親衛隊?」


「そ、そーよ!八神 架琉親衛隊〝YAGAMI〟よ!」



綾香の問いに胸を張って言う女の子たちの1人。


そんな女の子に、綾香はホケーッとした顔で頭を捻る。
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