君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「花菜ちゃーん!」



マスカラやらなんやらが爛れて、見れない顔になってしまった綾香が私に駆け寄ってくる。



「ばっ、止めろって!はははっ!」



八神 架琉はまだ笑っている。


中野 神弥は――…



「……。」



お、怒ってらっしゃる!!


よっぽどSランチをお召し上がりになりたいようで…



「あ、綾香!取り敢えず、食堂行こっか!」


「うん!」



中野 神弥の凄まじい睨みに堪えかねた私は、綾香の腕を引く。


まだヒーヒー言ってる八神 架琉に、中野 神弥が近づく。


と、途端に八神 架琉は笑うのを止めた。



「…ということだから。またね、架琉。じゃ、行きましょうか、先輩。」



爽やか笑顔を浮かべて、中野 神弥は颯爽と歩いていく。


八神 架琉はというと、親衛隊を引き連れて(というか尾行されてる?)、廊下の反対側へと消えていった。
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