君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「《よぉ、神弥。》」



玄関から聞こえる低い声。


と同時に中野 神弥の溜め息。



「何でここに来てんだよ、架琉。」


「《来るなって言われてねーから。》」


「だからって、あ!てめ、何かってに上がってんだよ!」


「《別にいいだろ。それとも何か?俺に見られちゃヤバイもんでもあんのかよ。》」



2人して言い合いをしながらリビングに現れる。


中野 神弥と共に現れた八神 架琉は私を見ると、意地悪い笑みを浮かべた。



「《へぇ?神弥は飯作ってもらってんのか。…俺も世話になろうかな。》」


「ふざけんな。俺ん家にはもう他人はいらねぇ。」


「《必要なのは山崎 花菜だけだってか?》」


「え?」


「てめぇ、架琉!ベラベラ喋んな。」



八神 架琉の言葉に、ご飯を運んでいた手を止める。


それと同時に中野 神弥がいつになく低い声を出す。

< 68 / 385 >

この作品をシェア

pagetop