君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「《別にいいだろーが。》」


「……よくねぇ。」



…………………沈黙。


八神 架琉の言葉は何を指すのか。


〝必要なのは山崎 花菜だけ〟


必要って…


私のことをその…す、好きってこと…?



「……勘違いすんなよ、花菜。」



ボソッと呟く中野 神弥。


その言い方につい、ムッとしてしまう。



「勘違いって何。」


「俺が、あんたを好きだとか思うなよってことだよ。」



カーっと頭に血が昇る。



「あんたこそ自惚れんな!いくら顏が綺麗だからって…みんながみんな、あんたを好きになると思うな!」



そう吐き捨てるように言うと、目の前のご飯を無理矢理口の中に突っ込んで勢いよく立ち上がる。


椅子から立ち上がった拍子に小指を机の角にぶつけたけど、痛みより怒りが勝ってたみたいで不思議と痛くなかった。

………後から痛そうだけど。



「いってきます!!」



そう叫んで怒りに任せて扉を閉めた。
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