君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「へぇーっ!理事長さんにそんなことを頼まれちゃったの?」



綾香を引き連れをカフェに訪れていた。


理事長に渡された地図を綾香に見せる。



「ここって…結構高級住宅が多いトコだよね。理事長の孫ってだけでこんな所に住めるなんて、羨ましいっ!」


「綾香もそう思う?」


「綾香“も”って…花菜ちゃんも羨ましいって思ってるの?」


「うん。」


「でも花菜ちゃん、今日からここに住むんでしょ?」


「………そうでした。」



“高級”なんて私には無縁だから、つい他人事みたいに考えてた。



「でも、カグヤって聞いたことがあるんだよね…。どこで聞いたのかな。」



綾香はうーんと首を捻る。



「あれー?思い出せないや。ねぇ、花菜ちゃん。理事長の孫が女の子なら私も部屋に招待してねっ!」



ウキウキ笑顔の綾香。


人の気持ちも知らないで…


ふぅ。


これが綾香の良いところなんだけどね。
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