君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「綾香?誰が教えてって言ったの?」


《もしかしたらもう着いちゃうかもっ》



…綾香さん?


私の言葉、通じてる?



《凄い剣幕で電話がかかってきたから、花菜ちゃん、気を付けてねー。》


「き、気を付け…?ちょっと、綾香!何に気を付ける――――…」


《ツー…ツー…》



…………………切れてる。


切れてますよ、綾香さん。



「綾香ちゃん、何て?」


「家教えたから気を付けろとか、何とか。よく分かんない。」


「【相変わらず変わってんのな、綾香ネェ。】」


「…あんたってかなり失礼だよね。」


「【花菜に言われたくねーし。】」


「ちょっと!食事中は止めなさいよ、あんたたち。」



母さんに制されて、私も崇大も押し黙る。


と。





――ピーンポーン…
< 87 / 385 >

この作品をシェア

pagetop