君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
…ちょっと待って?


〝今、何で出てってんだよ〟って言ったよね?


出てけって…中野 神弥が言ったんじゃなかったっけ…?



「花菜の…従妹に連絡して、花菜の居場所を聞いた。……俺を置いてくんじゃねぇよ。」



頭上からの声は、いつもの中野 神弥らしくなく…弱々しかった。



「でも出てけって…」


「平塚が服を着る間、花菜は居づらいだろ。」


「そりゃ」


「ちょっと外に出てろって意味だったのに、平塚追い出して、見たら居ねぇし。…普通実家まで帰んねぇよ。」



最後の言葉と同時に、抱き締める腕の強さを強める。



「中」
「【…早く花菜を放せよ。】」



出た…っ


崇大…ッ



「…何で?」


「【あ?】」


「何でお前にんなこと言われなきゃなんねぇの?」
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