君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「花菜は俺のなんだよ。お前は、花菜の何?」



花菜は俺の?!


…あぁ、俺の〝下僕〟か。



「【俺の…?お前、神弥か。】」


「あぁ?――――っ」



グイッと後ろに腕を引かれたかと思うと同時に、何故か中野 神弥がよろけていた。


見れば、中野 神弥は顔を背けていて。


私の頭上には、崇大の頭…



「……っ、」


「【花菜をたぶらかしやがって、ふざけんな。】」



…What?


あんた、誰?


崇大はこんな姉思いの優しい弟みたいなセリフを言うようなやつじゃないよ…?



「ふざけんなはこっちのセリフだ。…いきなり何しやがる。」



背けていた顔を上げた中野 神弥の左頬には殴られた痕。


綺麗な顔にその痕は、とても不似合いだった。
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