君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「【…しゃーねぇじゃねぇか。】」


「あ?」


「【俺は健全な男子高生なんだよ。】」


「…ははっ。そーだな。お前の気持ち、分かるわ。」



中野 神弥は立ち上がると、私の腕を掴む。



「けど…花菜は連れて帰る。退け。」


「【無理。ねぇちゃんは一生大事にしてくれるやつにしか渡さねぇ。】」


「一生?上等じゃねぇか。永遠に大事にしてやるよ。」


「【はっ、簡単に言うなよ。俺、前にもそう言ったやつを知ってんだか】」


「崇大っ!!」



私の意志は無視されて進められていた話。


中野 神弥は私と恋人同士であるかのような言葉を発するし、崇大はまるでお姉ちゃん思いの優しい弟みたいな言葉を発する。


何だか止めるのもアホらしくて、私は傍観することに決めた。


だけど、崇大が〝あの人〟の話をしようとするから。


つい…声を荒げちゃったんだ。
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