ある冬の日の物語
「いたいた」
黒髪の少女はある人物を捉えてまっすぐ歩く。
その人物とは、陽斗だった。
「やっと見つけたよ」
陽斗の前に現れたのは、死んだはずの蝶子にそっくりな女の子。
「蝶子………?」
陽斗は固まってしまった。
死んだはずの蝶子。
あの日、あの時、蝶子はたしかに不慮の事故で死んだ。
蝶子の冷たくなった遺体をたしかに見た。
みんな泣いてた。
蝶子の両親もクラスメイトも泣いて悲しんでいたんだ。
どうして…どうして。
「蝶子…なのか?」