ある冬の日の物語
「陽斗、黙って見ていればやりすぎだろ。アゲハちゃんが可哀想じゃないか」
「………!!」
たしかにそうだ。冬川は一切関係ない。
自分勝手に一喜一憂して驚いたり悲しんだりしてた。
冬川は蝶子じゃないのに。
「蝶子のこと忘れろとは言わないけどもう前を向けよ。今の陽斗見たら蝶子ちゃんが可哀想だ」
忘れなくていい?
前を向け?
蝶子がガッカリする?
言われなくたって頭ではわかっているんだ。
このままじゃダメだってことも
いつまでも下を向いてちゃダメだってことも。
全て図星すぎて気持ちを制御できなかった。
「陽斗。お前の味方だから………」