ある冬の日の物語
「待って!陽斗くん!逃げないで!」
雨降る中、しっかりと腕を掴まれた。
「…………」
「やっと捕まえた……」
「………」
「なんか、私たち、鬼ごっこしてるみたいだね?」
なんで、関わるなって言ったじゃんか。
冬川は関係ないのに酷いこと言ったのに。
普通なら遠ざけるはず。
みんなそうだった。蝶子を除いては。
「お前の目的はなんだ?」
「…………」
「金か?命か?金なら持ってないぞ」
「私は陽斗くんから何も望んでない。お金や命がほしいわけじゃない。私は陽斗くんに恩返ししたくて陽斗くんに会いに来たの」
「は??」