ある冬の日の物語
冬川の声で車に轢かれそうになることに気づく。
ああ。もう遅い。
だけど、これで蝶子がいる場所にやっといけるのかな。
やっと蝶子に会えるんだ。
キキーッ
瞼をそっと閉じる。
痛く、ない?
「いった………」
冬川が陽斗を庇ったのだ。
「お前……大丈夫か!?何考えてんだよ!!」
冬川は起き上がり、ビンタをした。
「私がいいたいセリフよ!!何考えてんのよ!!」
冬川の剣幕に血の気が引いた。
「蝶子ちゃんがそんな陽斗くんを見て喜ぶと思ってるの!?」
「冬川………」
「お願いよ……陽斗くん」
錯覚なのはわかってる。
だけど、冬川が蝶子に見えてしまった。