ある冬の日の物語
「ごめん…蝶子……」
蝶子に錯覚して冬川を抱きしめた。
気づいて咄嗟に離れた。
「ごめん………」
「いいよ。それで陽斗くんの心が癒されるなら私は蝶子ちゃんの代わりになる。だから、陽斗くん。同じ高校に行こう?今ならまだ間に合うから………」
酷いと、最低なのはわかってる。
だけど、今だけは冬川に縋らないとダメになりそうだった。
だってそれは冬川舞蝶という人格を否定することになってしまうから。
「ありがと……」
心の中でアゲハと呟いた。