ある冬の日の物語
「…………!!」
向こうの木陰で何やら小学生が集まって何かしている。
近づいてみると小学生は葉にとまっていた蝶をいじめていた。
こらっ!!と声をかけると一目散に走って逃げていった。
今時の小学生は仕方ないとふぅと息を吐いた。
葉にとまっていたいたのは珍しくもアゲハ蝶だった。
「アゲハ蝶………」
冬に生きるアゲハ蝶なんて珍しい。
こんな風に蝶子も蝶に生まれ変わってるのかなと馬鹿な妄想でもしてみる。
「俺、陽斗って言うんだ。よろしくな?アゲハ蝶さん。少しだけ俺の話を聞き流して欲しいんだ。聞いてくれるだけでいいから…」
「………」