&フィクション
「おまえはさぁ」
開けちゃだめだ。
「おれが死んだら、どする?」
そんなこと、そんなふうに、そんな言葉で、聞かないで。
「……どう、って、何が」
まぶたと眼球との隙間が、なんだかいやな感じだ。
ぬめるような、湿るような、うざったい。
「泣く?喚く?追いかける?」
「追いかけは、ぜったい、しない」
パチン。
「でも、あんたが死ぬとき、あたしもいっしょに死んでやる」
これは、あたしが誠をすきだからとか、そういうのだけじゃない。
恋愛感情だけじゃないの。
誠が死にたくてしかたなくなるいまを知るには、もう、きっと、これしかないよなって。
それだけだよ、だけどさ、誠。
ほんとは、あたしの気持ち、知ってほしかった。
だからこそ、いっしょに死ぬんだと思う。
「ふぅん」