&フィクション
「ほんとにいっしょに死ぬの」
温度のない、平坦な声。
「てか、目ぇ開けろ」
やだよ。言いかけて、言えなくなった。
「あ……っぐ」
なんで、どうして、いま、何が。
呼吸の手段が奪われる。
首にかかった、誠の手。指先。
不揃いに刺さる爪。
思わず目を開けるも、誠の表情など見ていられなかった。
見えていたはずなのに、見たものを認識できていなかったといえばいいのか。
「……っ」
歯を軋ませるようにして声を絞り出したのは、誠。
手が離れる。
呼吸を整える。
顔を、見る。
憐れむような、哀しむような、無表情。
くちびるが小さく横にひかれただけの、無表情。