&フィクション
「どうせおまえは、死ねねぇよ」
鼻で笑うかのように瞳を暗くしたあと、あたしの頭を撫でて。
「夏も秋もきらいだ」
つぶやいた。
誠のきらいな夏でも秋でも、なんだっていい。
誠といっしょに生きられるなら、どうだって、なんだって。
どんなに誠が死にたくなっても、きらっても、生きるしかなくて。あたしは生きてほしいと言える。そんな状況なら、それでもういいよ。
どうでもいいから生きてほしい。
ぜったい死にたいなら、あたしを殺す覚悟で死ねばいい。
それだけの執着を自覚して、息を吐いた。
「明日はたぶん、涼しくなるよ」
息、しやすくなるかもよ。
小さく笑うと、誠はゆっくりと目を閉じた。