生きていこう。それがいいんだ。
第1章
第1章
シズカ
********************************************
“あんたなんて生まれてこなければ良かった”
幼い頃から言われ続けてきた言葉。
8歳ぐらいまでは、更に泣き続けた。
“あんたなんて生まれてこなければ良かった”
春夏秋冬の巡りよりも早く、取っかえ引っかえ男を連れ込んでいた母親の言葉。
10歳ぐらいからは、無視するようにした。
“あんたなんて生まれてこなければ良かった”
小さかった頃は一方的に暴力を振ってきたくせに、私が大きくなったら“反撃”が怖くて、
口撃しかしてこなくなった、
卑怯者の遠吠え。
朝方まで飲み歩いて、泥酔状態で家に帰ってきた開口一番も、やっぱりこの台詞だった。
「お母さん。」
「・・・・・・・・・・。」
「お前が勝手に“生”でヤッたせいでしょ?
・・・“勝手に生まされた”私の方が被害者なんだよこのクソ野郎。」
15歳。
義務教育を終えて、小さな鞄一つに収まった自分の荷物を持って、
殴られても、ご飯を与えてもらえなくても、真夏の車中に残されパチンコを打たれても、
“この日が来るまで”
絶対にしなかった“反撃”。
< 1 / 192 >