生きていこう。それがいいんだ。


「ご馳走様でした。」


「ありがとうございやしたー!」


事務所からの帰り道。仕事じゃなくて本当に日用品を買いにやってきた近所のスーパー。


こじんまりしたフードコートで、

竜さんから貰った福沢諭吉を崩して560円の醤油ラーメンの器を返却した後、

生きる為に必要な生活品を買いに売り場へと進む。



「・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・。」


買い物カートにカゴを乗せて、さりげなく・・でも広範囲に周囲を見渡す。


「・・・・・・・いないね・・。」


思わず独り言が漏れて、【万引きGメン】が今日は居ない事を確認する。



“片足の親指ぐらい”しか突っ込んでないかもしれないけど、

“間接的の中の間接的”という表現が当てはまるかもしれないけど、


竜さんの下でバイトを初めて約3年。

私なんかでも、“匂い”や“雰囲気”を感じ取る事が出来るようになった。

数々の盗撮を繰り返してきたからこそ、危険か安全か状況判断は出来るようになった。

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