生きていこう。それがいいんだ。
<聞こえるか?>
「すみません、かなりガヤガヤしてて若干聞き取りづらいです。
今どこにいらっしゃるんですか?」
<今日から東京だ。
お土産は東京ばな奈でいいか?>
板尾警部の号令で、
“恨みを持つ者”の捜査範囲が拡大された。
関本主任を初めとする仲間の皆は一路東京へ。
被害者が生まれ育ち、結婚を機に静岡へ来るまでその人生を過ごした大都会へ行って、
被害者の“過去”へ目を向けることに・・
<そっちは相変わらずか?>
「はい・・。あれからも何度か立石さんと接触してますが、
『心当たりは無い』の一点張りです。」
<正直こっちも、新幹線代が無駄になるような気がしてしょうがない。
当たり前だけど“前科”は無いし、
私立の小学校、中学校、高校、
大学は慶應って隙がねぇぞ・・。>
「さすが立石大臣の息子さんですね。」
<どこまでが本人の実力で、どっからパパの力を借りてるか分かんねぇけどな。>
関本主任との電話を終えると、豊川さんと合流するために元気飯へ足を運ぶ。
「おはようございます。」
『・・・・・・。』
だけどその前に・・
今日は豊川さんよりも先に、
被害者と合流する事となった。
ちょうど横断歩道を渡ったところで、
相変わらずポケットへ手を突っ込んだままシュッと“空気”になっていたので隣り合って歩く。