生きていこう。それがいいんだ。


『まだ犯人は捕まらないのか?』


「すみません・・。
引き続き全力を挙げます。」


『・・ハッ・・警察も大したもんじゃないんだな。』


「頼みはあなたの“心当たり”なんですが、
やっぱり教えてくれませんか?」


『だからそんなもんは無いって言ってるだろうが。』



時間が出来たときに取り組んでいる腹話術の練習もまだまだ習得には至っていない。


傍から見たらブツブツと独り言を呟きながら歩くヤバい奴なので、

極力小声で、ちょくちょく手で口を覆いながら立石さんと一緒に歩を進める。



『お前、名前なんだっけ?』


「星野です。」


『・・・・・・・・・。』


「どうしました?」


『お前の父親は何をやってる人?』


「お寺の住職です。」


『・・お前・・寺の息子なのか・・?』


「はい。」


『なんで寺の息子が刑事やってるんだよ。』


「話すと長くなるので一言で言うと、
母のおかげです。」


『・・・・・・・・・・。』


「僕は自らの意思で、足下に敷かれていたレールから外れてこの道を選びました。」


『・・・俺と一緒だな。』


「・・・・・・・。」

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