生きていこう。それがいいんだ。


「・・・・・・・・・・・。」


トイレットペーパーやティッシュといった、“かさばる物”は普通にカゴへ入れて、

重宝しているランチパックや野菜ジュースといった、“安物”は普通にカゴへ入れて、



「・・・・・・・・・・・・・。」


他の商品棚よりピンクにライトアップされた“化粧品棚”の列に来た所で、

より一層周囲に目を配って、
五感を研ぎ澄ます。


「・・・・・・・・・・・・。」


ちょうど、私の他に2人の主婦らしき女の人がいる。うまくその体を死角に使って・・


「・・。」


一生スッピンで良いんだけど、

仕事の為に、シチュエーションに合わせて顔を作って周囲へ溶け込まなければいけない。



でも明日の生活が保障されていないこの身だから、高価な物にお金は使えない。


だから1円でも節約しておきたいから、

今日も・・まずはリップをポケットに手早く入れた後、他数点を一気に、

至る所に裁縫して作った“収納穴”へ・・
自分の全身へと放り込んでいく。


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