生きていこう。それがいいんだ。
第9章
前編
第9章
「加賀ちゃん。どう思いますか?」
『板尾の事だ。裏はあるかもしれないが、
無益な情報は流してこねぇはず。』
良くも悪くも、喫煙所から戻ってきた豊川さんに見つかったので、
経緯を話した後、再び階段を上る形で“屋上会議”を開く。
先程まで豊川さんと談笑していたらしい情報屋の加賀さんも交えて、
3人でノートパソコンの画面を見る。
「板尾警部の口から出た藤堂ミホさんですが、
約10年前に東京で起きた強姦殺人事件の被害者の名前でした。
当時18歳の大学1年生。
複数と思われる男から性的暴行を受け、
更に首を絞められて殺されています。」
『複数と“思われる”・・?
犯人は捕まってねぇのかい?』
「はい。未解決事件のようです。」
「では、この状況で普通に考えたら、
犯人は立石氏ということでしょうね。」
「なんで当時、挙げられなかった犯人を板尾警部は知ってるんだろう・・。」