生きていこう。それがいいんだ。
「・・・・あの豊川さん。加賀さん。」
『「・・?」』
「“簡単に”・・じゃなくて、
“ガッツリ”調べてみてもいいですか?
ごめんなさい、ヘルメットの線が小休止する形になってしまいますが・・。」
「・・・・・・・・・。」
『どういう事だぃ?』
「お二人の読み通り、板尾警部と同じ壁に当たるかもしれませんが、
でも“捜査の為”というより・・
“立石さんと話をする為”に、
この強姦殺人について調べたいです。」
『「・・・・・・・。」』
「もし本当に立石さんが藤堂ミホさんに性的暴行を加えて絞殺したとしたら・・
父親の力を使ってそれを揉み消したとしたら・・同情の余地も無い極悪人です。」
『「・・・・・。」』
「ですが・・今僕達が向き合ってる事件で言ったら・・彼は被害者です。
被害者と対等に話をする為に、
“被害者にまつわる過去”があるのなら、
それを把握した上で、
もう一度事情聴取したいです。
・・・板尾警部には出来なくて、
僕にはそれが出来る・・。」
『・・・・グハハハ!お前も一端にそれらしい事言うようになったなぁ。
才谷と吉田さんの事件でまた成長しやがったらしい。』
「分かりました。
では今日も引き続き二手に分かれましょう。
私はヘルメットリストの8人について。
君は10年前の事件にまつわる情報収集と、立石氏への事情聴取。
一気に進めましょう。」
「はい・・!」
「では、元気飯の開店時間になったので、
まずは腹ごしらえです。」
『えー良いなぁ!!
俺も久しぶりにカエデに会いてぇよぉ!』
セイズ署刑事課を長年支えてきたBIG2との屋上会議が纏まったところで、
なんとなくだけど・・
“真相までもう少し”・・
“きっと辿り着ける”・・
この事件の捜査を始めて初めて・・
そんな肯定感がこの心を一瞬よぎった。