生きていこう。それがいいんだ。
“後ろ”からじゃなくて・・
【横】から声を掛けられた・・。
・・・いつの間に・・・?
「あなた誰?」
「大丈夫。Gメンでも、あの店の従業員でも無いから安心して。」
エコバッグを握りしめる手に力が入る。
過信していたわけじゃないけど・・
この私が・・気付けなかった・・。
いつの間にか隣に並んでいたのは・・
20代後半ぐらいの男・・・。
「あれ?止まってくれないの?」
「私忙しいから。
何か用があるなら歩きながら喋って。」
一見すると・・竜さんみたいなヤバい職業の雰囲気でも無く、
かと言って警察やGメンのような堅苦しい雰囲気でも無く、
なんだか・・・“ド真面目”、“市役所公務員”みたいな、ごく普通に見える男・・・。
「君、常習者でしょ?
あんな数秒の間に次々と盗るなんて・・
あれは俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。」
「漫画みたいな格好つけた台詞が言いたいのが目的?」
「君、幾つ?随分若そうに見えるけど。」
「ナンパが目的?」
「ナンパじゃないけど・・
ねぇ止まって喋らない?」
「・・・・・・・・・・・。」