生きていこう。それがいいんだ。
普通に見えるからこそ・・
危ないパターンもあるかもしれない。
大通りから外れて、
細い住宅街の方へと向かう。
確か・・途中に公園があったはず。
「え・・夜の公園はなんか怖いからやめようよ。」
「あなたが止まって喋りたいって、
言ったんで・・・・。」
「え・・?どうした?」
「・・・別に。」
夜の暗さで上手く“影補正”されてるだけかもしれないけど、
改めて見るとこの男・・
ちょっとだけ・・中学生の時に唯一好きだった俳優に似てる・・。
「あ!ひょっとして俺のこと“佐藤健に似てる”って思ったでしょ!?
よく言われるんだよね~。」
「別に思ってない。
さっさと用件言って。」
「さっきの万引き・・・・。」
「なに?黙ってて欲しかったら、
カラダで口止め料払えって?」
「え!?」
「そんな安っぽいドラマにありがちな展開に持っていかなくても、
好きにバラしてくれば?
別に警察に捕まるのなんて怖くない。」
「その取引は思いつかなかったなぁ。
え、カラダで払ってくれるの?」
「・・・・払うわけないでしょ!!!!」
「冗談だよ冗談。でもごめん。
“バラされたくなかったら”
って取引は持ちかけようとしてた。」
「なに?」
「驚かないでよ。」
「早く言って。」
「人を殺すのを手伝って欲しい。」
「・・・・・・・・いいよ。」
「は!?」
「一体なに・・?
いちいちリアクション大げさ。」
「いやそんなあっさり快諾!?」
「別に・・私には失う物なんて何もないから。」
「君・・・・・最高だね。」
どこまでが冗談でどこまで本気なのか知らないけど、何が目的・・?
でも・・今まで一度もバレなかった数々の“犯行”を見破った・・。
やっぱり・・この男はただの佐藤健似な普通の男じゃないかもしれない。
第1章 完