生きていこう。それがいいんだ。
――――――
“ガチャリ”
「・・・あぁ~・・疲れ・・。」
「・・・・・・・・。」
「え・・・?・・!?
誰だおま・・!」
「!!!!」
「ウグッ・・アァ・・!」
「・・・“藤堂ミホの兄”・・
って言えば分かるか・・・?」
「!?」
「もう何も言い訳はするな・・。
お前は今日この後・・
首を吊って死ぬ・・。」
「・・・アァ・・オエッ・・アァ・・・。」
「木嶋の葬儀は盛り上がったか・・?
・・・まさかとは思うが、
涙を流して棺へ手を合わせたのか・・?」
「・・マサカ・・・オマエガ・・!?」
「“これは脅しじゃない”ってお前に分からせる為にアイツには即死してもらった・・。」
「ナ・・ンダト・・!?」
「安心しろ・・・。
お前の遺書はこっちで用意した・・。
“会社の金を使い込んだ”っていう事実しか載せてないから誰も疑わない・・。
パソコンで打った文章だが、お前を吊った後に拇印を付けておく・・。」
「・・ヤメロ・・アァ・・!」
「この部屋に忍び込むのは今日で3回目だから、小物の位置も全て把握してる・・。
・・あとで朱肉借りるぞ・・・。」
「・・・・・・アァ・・・!
タスケテ・・タノム・・タスケテクレ・・!」
「・・・・・。」
「ゴホッ!ゴホッ!オェエ・・!」
「助けて欲しかったら答えろ・・。
・・・・3人目は誰だ・・?」
「!!?」
「ある時・・速達の“バイク便”が俺の元へ届いた・・。
何枚にも及んで・・何日も掛けて作られた一冊のファイル・・
ある人が命を賭けて俺に送ってくれた・・あの事件の全てが書かれてあった・・。」
「・・・・・・・・・。」
「お前と木嶋の犯行を裏付ける数々の証拠・・それを警察が掴んでいた事実・・
・・・掴んでいながら・・
揉み消した事実・・・・。
・・・“もう一人”・・・
お前らの仲間が居た事・・。」
「やめ・・・やめ痛・・・
・・・ァアア・・!!」
「バイク便の送り主は・・最期まで俺の安全だけは守ろうとしてくれた・・。
俺に“白い力”が向けられないように・・
3人目の名前だけはその資料から伏せられていた・・。」
「・・・・!!」
「お前が3人目にチクったのか・・?それとも井川警視総監に直談判したのか・・?
ミホだけじゃなくて・・高松さんの命も奪って楽しかったか・・?」
「ヒッ・・!」
「木嶋より・・まだお前の方が喋ってくれる可能性が高いと思った・・。
だからアイツを先に殺した・・。」
「助・・助けてくれ!
何でもなんでもナンデモ話すから!!」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「違うんだよ・・俺と木嶋はただ・・
いつものようにクラブで引っ掛けた女で卒業記念やろうとしてたんだよ!
・・・でもアイツが、
“それじゃつまらない”って・・
“いつもジャンクフードなんだから最後は高級寿司を喰うぞ”って・・
それで俺らと真逆の世界にいる“普通の女”をレイプしようって・・
アイツが言い出したんだよ!!」
「・・・・・・・・・・・。」
「殺したのだって俺らじゃない!!まさか本当に殺すとは思わなかったんだよ!?
アイツがあの子の首絞めて・・
“もっと苦しめ”ってマジで力入れて・・
“それはマジでヤバいぞ”
って俺らはちゃんと止め・・ヒッ!」
「・・・・さっさと・・・
そいつの名前を言え・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・。」
「・・立石・・カズマ・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「父親が自立党の立石議員で・・
もうすぐ発足される第二次谷内内閣で、
閣僚に入る事が確実視されてて・・
元々警察の偉い人だったって・・
あの人のお陰で俺らも・・・ヒッ!」
「お前は日本語が通じないのか・・?
お前は名前だけ言えばいい・・・。
あとはこっちで調べる・・。」
「頼む!お前の事は絶対誰にも言わない!だから命だけは勘弁してくれ・・!
俺もうすぐ結婚するんだよ・・!!
もう昔の行いから悔い改めて真面・・
・・・・・・・・・・。」
「そうやって必死に助けを求めて、
・・・泣き叫んだミホを・・
・・・お前らはどうした・・?」