生きていこう。それがいいんだ。
第11章
第11章
霊視刑事 星野ヨシヒト
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「女の子はご無事だったんですか?」
『擦りむいたと思うけど、
軽傷だったはずです。』
静かな口調で語り終わった、
藤堂タケルさんの生涯。
聞いてる途中は何の変化も起きなかったけど、
豊川さんの猫背がだんだんと直立へと変わっていく・・。
「長年この仕事に就いて、様々なタイプの死者と出会ってきましたが・・」
『・・・・・・。』
「まさか君のような死者が立ちはだかってくるとは思いませんでした。」
『・・・・・・・・・・。』
「同じ警察官として、
君や妹さんには謝っても謝りきれません。
“同情”という言葉はあまり使いたくありませんが、君の境遇や、
膨れあがった立石氏への恨みは同情に値します。」
『・・・・・・・・。』
「ですが、ご自分が何をしたか分かっていますか?
死者が言葉巧みに生者を操って、
何の罪も、何の関係も無い黒田シズカさんを殺人者へと誘った。
はっきり申し上げて、あなたは黒田さんに取り憑く【悪霊】です。」
『その点については・・
弁明の使用もありません。
仰るとおりです。』
「“この事件の犯人は、もしかしたら私と星野君の存在を知っているかもしれない”
“仲間の皆しか知るはずのないこの力が、外部に漏れているかもしれない”
仲間に対して疑惑の視線を向けかけてしまいましたが、これで全て辻褄が合いました。」