生きていこう。それがいいんだ。


『セイズ市だけじゃなくて・・

静岡中に漂う死者の間で、
あなた達の事は有名でしたよ。

“死者と話が出来る刑事”

特に・・。』


タケルさんの視線が・・
豊川さんから僕へと変わる。


『“この苦しみを聞いてくれる人がいる”

“この恨み辛みを分かち合ってくれる人がいる”

“心安らかに、空の境地を開かせてくれる人がいる”

・・・星野ヨシヒト君。

君はこの街の死者達からすると、
まさに言葉通り“命の恩人”・・

いや、“魂の恩人”なんだよ。』


「・・・・・・・・・・・・。」




謙遜もあったけど、
言葉を飲み込んでしまった。

僕が今一番・・
声を大にして言いたかったこと・・

もうそれは今となっては、
取り返しのつかない事で・・


目の前に立つ“空気”に向かっては・・
・・・もう・・・・・。




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