生きていこう。それがいいんだ。
「ゴホッゴホッ!黒田シズカさん。
少しは今の状況について、
受け入れて頂きましたか?」
「・・・・・・・・・・・。」
豊川さんや僕と共に、タケルさんの話を一緒に聞いていた黒田さんは・・
取り乱すことも、
呼吸が乱れる事も無く、
ただずっと・・
視線を下に落として俯いていた。
「ゴホッゴホッ!出来ればあなたをこのままセイズ署へと連行したいところですが、
お分かりの通り、
私達にしか分からない“状況証拠”では、
“何故この女性が怪しいと思った?”
という説明ができません。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「そこで、私から提案があります。
バイト終わりでお疲れでしょうし、
今日はこのまま帰ってお休みになり、
明日改めて、最寄りの警察署へ【自首】して頂きたいです。
そうする事によって、担当の警察官からセイズ署へ連絡が入り、
“公”にあなたの事を被疑者として、
捜査・逮捕できます。」
「・・・・・・・・・・・。」
「もしこの提案を拒否するのなら、あなたを力づくで逮捕するしかありません。
ですが私も星野君も、できれば手荒な真似はしたくありません。
・・・いかがでしょうか?」
「・・・・・分かりました・・。」
「ありがとうございます。
では私達は帰ります。
・・・・タケル君。」
『はい。』
「黒田さんと話をする時間は作りました。
もうこれで、彼女から手を引きなさい。
まだ彼女に取り憑くようだったら、
星野君が手荒な真似をします。」
『はい。分かってます。逮捕を先延ばししてくれてありがとうございます。』
「では星野君。帰りましょうか。」