生きていこう。それがいいんだ。
第3章


第3章



霊視刑事 星野ヨシヒト
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「ハックション!!!!!!!!!」


「・・・アハッ!
星野さん風邪ですか?」


「いやぁ・・・至って健康だよ。」


「じゃあ誰かが星野さんの噂をしてるかもですね!

はいっ、スタミナ定食ご飯大盛りでぇーす!」


「いただきます。」



良い言い方をすれば“老舗”、
悪い言い方をすれば“オンボロ”。


朝から営業する街の定食屋さんとして、
常連客も多い“元気飯”。


いつもは、ここで朝カツ丼を食べる豊川さんのお迎えで訪れるのがほとんど。

だから抱えていた事案が一段落したこのタイミングで、

夜遅くに申し訳なかったけど、
久しぶりに“客”として一人で訪れた。


「ごめんねカエデちゃん。
片付けしてる所だったのに。」


「ちょうどご飯が一人前余ってたので丁度良かったです!」


早朝から、セイズ漁港で働く人や漁師さん。豊川さんを相手にして、

大学で講義を受けて、
夕方から閉店まで働く。


いつ来ても・・学生とバイトを両立するカエデちゃんは元気いっぱいで感心す・・


『な~に変な目で見てるんだよ星野!』

『なにぃ!?おい星野!
カエデにはぜってぇ手だすなよ!』

『このスケベ刑事!』



「・・・あ、カエデちゃん。
お水頂けるかな?」


「あ!ごめんなさい忘れてた!
すぐ持ってきますね!」


奥の調理場へと移動させた隙に・・


「勘違いしないでくださいよ。

疲れてるはずなのにそんな素振りを見せないあの子を僕も見習わなきゃって、

感心してただけです。」


『『『ワハハ!そうかそうか!』』』


この店に集まる、かつてセイズ漁港で命の情熱を灯していた漁師さん達への誤解を解いて、

食事を再開する。





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