生きていこう。それがいいんだ。
『ヨシヒト。』
「・・?あ、はい。」
『・・・・大丈夫か?』
「・・・・?」
僕の席から移動して、また“ワハハ!”と昔話で盛り上がる漁師さん達の輪の中から、
かつてこの界隈で一番の漁船団を率い、
“生涯現役”を貫いたまま、
船上でその命を散らせた“源さん”こと源田船長が僕の隣へと腰掛けてきた。
『随分と・・
目にひどいクマが出来てるぞ。』
「はいっ星野さん!お水でぇ~す。」
「ありがとう。」
「じゃあ洗い物してるので食べ終わったら声掛けてくださいねっ。」
コップを受け取りながら、再びカエデちゃんがこちらへ背を向けたことを確認した後、
一口含んで源さんのほうへと視線を変える。
「大丈夫ですよ。大なり小なり毎日事件が起きるので、相変わらず寝不足なだけです。」
『睡眠不足は今に始まった事じゃねぇだろ?
刑事課に異動してからずっとそうだったのに、クマは出来て無かったじゃねぇか。』
「・・・・・・。」
『ここ最近は更になんか+されて疲れてるな。』
「・・・さすが、かつて大船団を率いていたお方ですね。」
『あたぼうよ。船員のちょっとした体調変化も気付けねぇで船長は務まらねぇ。」
「・・・・・・。」