生きていこう。それがいいんだ。
「・・・・・・・・・・。」
チェーンロックを掛けた状態で鍵を開けて、ゆっくりとドアノブを回す。
「・・・はい。」
「こんにちは。黒田シズカさんですか?」
「そうですけど。どちら様ですか?」
「私こういう者でして。」
チェーンロックが引っ掛かって僅かに開いた扉の先。坊主頭の中年男が立ってい・・
「!!!?」
「山田と申します。」
「・・・・・・・・・・・。」
“どちら様ですか?”という質問に対して、胸ポケットに手を伸ばした男が・・
“山田”と名乗るのと同時に、
【警察手帳】を見せてきた。
「警察の方が何の用ですか?」
声が震えないように、必死に冷静さを自分自身の心へ訴えかける。
必死に・・頭の中に自分自身への“容疑”が駆け巡る。
さわやか金融への出入り・・?
竜さんとの繋がり・・?
電車、プール、ゲームセンター、ショッピングモール?メイク道具・・・?
もしタケルと出会ってなかったら、こんなにも動揺する事は無かったかもしれない。
明後日がXデーじゃなかったら、こんなにも“まだ捕まるわけにはいかない”と・・
「突然すみません。黒田メグミさんって君のお母様で間違いないかな?」
「え・・・・・・?」
「え~っと年齢は46歳で、耳にピアスしていて・・・ちょっと待ってね。
他に外見的特徴あったかな・・。」
「黒田メグミは私の母ですけど。」
「・・・・そうですか。
失礼ですけど、
お母様と最後に会ったのっていつかな?
勝手な推測で申し訳ないけど、
その様子だと疎遠だったのかな・・?」
「もう4年ぐらい会ってません。
あの女がどうかしたんですか?」
「え~っと・・
落ち着いて聞いてください。」
「・・・・・・・・・・。」
「昨夜、黒田メグミさんのご遺体が見つかりました。」