生きていこう。それがいいんだ。
「事件性は無いので、ご遺体の引き取り先をどうしようかと話してた所で、
メグミさんの戸籍から君へ連絡させてもらった次第です。」
「・・・そうですか。」
「一応お伺いしますけど、
ご遺体・・・・。」
「引き取りません。」
「分かりました。」
「山田さん、どうします?」
「・・・・仕方ない。
【孤人の館】へ依頼しましょう。」
「分かりました。すぐに連絡取ります。」
山田さんと検死官さんが小声でやり取りしている間・・当然、涙なんて出なくて・・
“哀しみ”なんてこれっぽっちも無くて・・
“喜び”と“安堵”で、ガッツポーズをしたい衝動に駆られていた。
「もう帰ってもいいですか?」
「はい。ご協力ありがとうございました。
ご自宅までお送りしましょうか?」
「大丈夫です。失礼します。」
勿論、市役所にちゃんと依頼して、
住民票の閲覧制限を掛けてもらっていた。
でも・・この女に左ストレートを食らわせてから4年。
頭の片隅で・・心の片隅で・・
いつかまた私の前に現れる日が来るんじゃないかと怯えていたのかもしれない。
また私の前に現れて、
“独りで生きていく”と決めたこの人生を邪魔されるかもしれないと、
恐れていたのかもしれない。
「・・・・良かった・・・
地獄に落ちてくれて・・。」
警察署を出て、周りに誰も居ない事を確認してから、思わず独り言が漏れた。