生きていこう。それがいいんだ。
第6章
第6章
シズカ
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安っぽいサスペンスにありがちな展開だったら、
Xデー当日にトラブルが起きたり、実行中にターゲットが予期せぬ行動を取ったり、
実行犯の私がミスを犯して、
結局それが刑事達に付けいられて、
警察の勝利で終わる。
だからある意味、
そんな事が全く起きなくて、
全てが上手くいった事に対して、
達成感と同時に怖さすら覚えた。
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「最終確認だけど、
本当に俺へ協力してくれる・・かな?」
「今さら何よ。」
「馬鹿息子にも一応奥さんがいる。」
「毎晩のように色んなホステスとか風俗嬢と遊び回ってるんでしょ?
奥さんだってそんな男と縁が切れていいじゃない?」
「一応小さい子供がいる。」
「馬鹿爺と馬鹿父が育てるより、
まともな奥さん一人で育てた方が真っ当な大人になるんじゃない?」
「・・・ハハッ。俺もそう思う。」
「迷いは無いよ。」
「ありがとうシズカ。
でも、“人の命を奪う”っていうのは万引きや盗撮とはまた違った重みがある。
それを背負わせてしまって・・
なんて御礼を言ったらいいか・・。」