生きていこう。それがいいんだ。
「ゴホッゴホッ!
今日は遅いので続きは明日にしましょう。
私は一本吸ってから帰ります。」
「はい。お疲れ様でした。」
ちょうど階段の所まで着いたので、
豊川さんは上へ。僕は家路へと・・
・・と思ったけど、
尿意を催したのでトイレへと向かう。
「・・・・・・・・・・・。」
・・・と思ったけど、
便意も来そうな気がしたので、小便器の前で降ろしたチャックを再び上げて、
個室へと入った後改めてベルトを外して便座へ座・・・
『グハハハ!
こんな遅くまでどうした星野?』
「わっ!!!」
『あれれ?ここトイレか?』
「・・・・加賀さん・・
思いっきりセクハラですよ・・。」
ビックリしすぎて一瞬止まったのち、
扉をヌッとすり抜けて現れた“空気”が顔見知りだと分かると、
安心して一気に尿意と便意が解き放たれた。
『グハハ。驚かせて悪かったな。』
「用を足してる所で死者に話し掛けられるのは初めてですよ・・。」
お構いなく、便座に座る僕の前へ立つこのお方は元 刑事課主任の加賀さん。
セイズ署に居る地縛霊として、
豊川さんや僕へ、署内のどうでもいい話題から機密事項まで教えてくれる情報屋だった。
『立石大臣のボンボンが殺された事件か?』
「さすが耳が早いですね。」
『昼から県警の連中がズカズカとやって来たから、
思わず俺も興味本位で捜査会議出てやったよ。』
「ではもうご存知かもしれませんが、今回はかなり難しい事案になりそうです・・。」
『グハハ!じゃあ俺からありがた~~いアドバイスをしてやろうか?』
「え・・!?ぜひお願いします・・!
豊川さんだけじゃなくて、加賀さんからもお知恵を貰えたら百人力です。」