冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

独り言を言葉にして
『あ、言っちゃった』と後悔しても、もう遅い。


「そういえば
 さっきの会議でも何か仕出かしたらしいな。
 お前、何をしたんだ」


せっかく信頼を築き上げられそうな雰囲気だったのに
イトカの発言で一変。
疑惑の目を向けてきた。


「アレは不可抗力です。
 スクリーンが消えた理由がわかったから
 ちょっと手助けして復活させただけなのに…
 どうして私がスパイなんだか」

「データを盗んだと言っていたぞ」

「んな事するはずないじゃないですか。
 私は働きたいだけなんです。
 信用されないのは当然かもですけど…」


それがなければ
もしかしたら上手くいっていたかもしれないと
先ほどの自分の言動に更に激しく後悔。


「じゃぁ聞くが。
 会議に意見したと言うのはどういう事だ」

「それは…
 資料の表が”年齢層の収益”だったんですが
 社長さん達が年配ばかりで
 客の年齢層も高い人しかいない。
 若い人をターゲットにして
 もっと根本的に考え直さないといけないと思ったからで…」


言いながらイトカは我に返った。

このビルのボスに
自分はなんて事を言ってしまったのかって…。
< 10 / 144 >

この作品をシェア

pagetop