冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
独り言を言葉にして
『あ、言っちゃった』と後悔しても、もう遅い。
「そういえば
さっきの会議でも何か仕出かしたらしいな。
お前、何をしたんだ」
せっかく信頼を築き上げられそうな雰囲気だったのに
イトカの発言で一変。
疑惑の目を向けてきた。
「アレは不可抗力です。
スクリーンが消えた理由がわかったから
ちょっと手助けして復活させただけなのに…
どうして私がスパイなんだか」
「データを盗んだと言っていたぞ」
「んな事するはずないじゃないですか。
私は働きたいだけなんです。
信用されないのは当然かもですけど…」
それがなければ
もしかしたら上手くいっていたかもしれないと
先ほどの自分の言動に更に激しく後悔。
「じゃぁ聞くが。
会議に意見したと言うのはどういう事だ」
「それは…
資料の表が”年齢層の収益”だったんですが
社長さん達が年配ばかりで
客の年齢層も高い人しかいない。
若い人をターゲットにして
もっと根本的に考え直さないといけないと思ったからで…」
言いながらイトカは我に返った。
このビルのボスに
自分はなんて事を言ってしまったのかって…。