冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
7章:恋の味
*堕天使な若旦那様
【辞任・追放・金我事件】(命名)は
最後は意外と呆気なかったが無事に決着し
ようやく平穏な日々を取り戻そうとしていた。
皆が労働している
とある平日の日中――
「じゃ、散歩してきまーす」
「アホ!仕事の使いだろ!」
メイクを施し薄ピンク色のワンピースに着替え
まるで遊びに行くかのような軽い挨拶をしたが
見事に注意を受けてしまった。
決して遊びに行くワケではなく
ビレッジ内のテナントに入っている呉服店で
イトカの着物の新調と
各店舗に顔を出すのが目的。
もちろんそれは婚約に伴ってのモノ。
城外のバルコニーから
大衆に手を振って…とはいかないため
セレブ達とお近づきも含めての挨拶まわりだ――
1軒目の呉服店では奥へと通され
座敷の部屋に招かれると
さっそくと言わんばかりに
数種類の着物が登場。
イトカは暫し堪能しながら
最終的に縹色(はなだいろ)に決め
着付けまでしてもらい外へ。
その足で立ち寄ったのは
以前、社長から頼まれて
味の感想を素直に答えた高級和菓子の店。