冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
「あ…コレって…」
店頭のショーケースに並ぶ色彩豊かな和菓子の中心に
イトカが試食した新作が
”甘さ控えめで女性に人気”との謳い文句で
売られているのが目に留まった。
『数か月ぶりにもう1度食べてみたいな』と思いながら
店員を捜していたちょうどその時。
「何か気になるモノがありましたか?」
20代~30代くらいの和装した男性が
のれんを潜って表に出てきた。
姿勢良く着物を着こなし
黒髪の短髪に柔らかな表情は
とても爽やかな好青年。
「この新作を頂きたいのですが…」
「わかりました。
少しお待ちくださいね」
男のニコッと笑った顔に
思わずドキッとしてしまうほど
彼の笑顔に魅力を感じた。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます。
あの…今食べても良いです?」
「あ、はい。
大丈夫ですよ」
許可を貰い
イトカはさっそく袋から取り出すと
一口パクリ。
「あれ…
この前と全然違う…」
「え…」
思わず口走ってしまった感想に
男は驚いた表情を浮かべた。