冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
「挨拶はそのくらいとして
西園寺、何か用事があって来たんだろ?」
しばらく続いたイトカと西園寺の挨拶に
急に仕事モードに切り替わった社長が本題へと移した。
「そうでしたね。
実は、来週行われる
茶会に出す和菓子の味見をと思いまして…」
そう言いながら
手に持っていた白いキャリー箱を
デスクに置く西園寺に対し
社長は怪訝な表情を浮かべている。
「俺が甘いモノが嫌いだと知りながら寄越す《よこす》とは
絶対ワザとだろ」
「あはは。
バレましたか」
ニコニコしながら白状する西園寺は
意外と少し悪い男に見える。
「ではこの菓子は
木瀬様に差し上げます。
良かったら食べてください」
「え、いいんですか!?」
「もちろんです。
最初から貴方に渡すつもりでしたし…
ぜひまた感想を頂けると嬉しいです」
「はいッ
喜んで!」
「可愛い方ですね…」
仲睦まじく会話をする2人だが
素直に喜ぶイトカに対する西園寺の眼差しが
社長は妙に引っ掛かり
急にムッとしたかと思うと。
「西園寺、勝手な事をするな。
その女に何かするなら
まずは婚約者の俺を通せ」
不機嫌MAXが
思い切り言葉と顔に現れている。