冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

そんな社長の態度と
一驚する西園寺に苦笑するしかないイトカ。


「何もそんなに警戒しなくても…
 西園寺さんは悪い方じゃないし…」

「ダメだ。
 そういう問題じゃない」

「ダメって…」


『じゃぁどういう問題なの…』と
少々呆れてしまう。


「さすがに柴永様のご婚約者様に
 手を出すような無粋な真似はしませんので
 ご安心ください」

「そんなのは当たり前だ」


苦笑いを浮かべながらも穏やかな西園寺に
社長は容赦なく言い放つ。

先程まで普通に接していたはずの社長の態度に
イトカはどうにも納得がいかなかった。


「突然どうしたんです…?
 なんか社長…怖いですよ」


いつも確かに厳しい男ではあるが
何もないのに急に怒り出すような性格ではない。

例え社長といる期間が短くても
それはイトカにもわかっていた。


けれど…


「悪いが席を外せ。
 西園寺と2人で話がある」


質問に対する答えも言われないまま
無理やり社長室からの退室を命じられてしまい
大人しく言う事を聞くしか出来ず
黙って社長室をあとにした。




だがこの時のイトカには
まだ何もわかっていなかった―――
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