冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
イトカが出て行って少しすると
先に口を開いたのは西園寺。


「木瀬様にまであんな言い方…
 柴永様が感情的になるなんて
 らしくありませんね」


『彼女が可哀想に…』と
同情の溜め息まで漏らす。

そんな彼に
社長は更に嫌悪を抱いた。


「いつまで芝居を続けるつもりだ。
 俺には通用しないぞ」

「何を仰っているんです?」

「俺が気付いていないとでも思うか?」

「…なるほど」


すると西園寺は
今までで優し穏やかな口調と態度を崩さなかったのに
社長の”心を見透かした言葉”で目つきが変わり
その表情から笑顔が消えた。


「敵意をむき出しにするほど
 彼女を取られたくないってワケですか」


声調に変化が生じ
重低音ボイスに切り替わる。


「お前は”特に”危険だからな」

「特に危険だなんて心外ですよ。
 まだ何もしてないじゃないですか」

「”今はまだ”だろ」


ジワジワと
水面下で交わす2人の心理戦。


「妙だとは思ったんだ。
 お前がココに来る事など滅多にないのに
 突然来てアイツに菓子なんて
 下心しかないだろ」


社長が核心に迫る。
< 110 / 144 >

この作品をシェア

pagetop