冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
*今宵の宴は悪夢の始まり
西園寺が自分のところで教室を開いているのは事実であり
習いに来ているのは20代~40代の女性達。
やはり皆”花嫁修業”という名目だが
実際は西園寺目当てで来ている者も少なくない。
社長と一緒に暮らしているはいるが
彼は基本的に休日も会社にいる事が多く
その留守の間に
たびたび教室へと出向いた。
「今日も宜しくお願いしますッ」
「こちらこそ
お願いしますね、木瀬様」
初めこそ緊張したイトカだったが
数名の受講者がいる安心感と
手取り足取り基礎から優しく1つ1つ教えてもらうにつれて
楽しく少しずつ身に着けていった。
西園寺も決してイトカに手は出さず
機会を伺いながら教えていた。
そんな折―――
「宴《うたげ》…ですか?」
「はい。
このテナントの屋上で来月
少し大きな宴会が行われるのですが
もし良ければ木瀬様に御手伝いをお願いしたいのです」
「わ、私ですか!?
まだ全然役に立てないですよッ」
「とんでもない。
木瀬様は上達が早く素質があります。
今のままでも十分に通用します。
それに…”華”がある」
そんな風に言われてしまえば
女としては素直に嬉しく思ってしまう。